伝説のトレーダー「ラリー・ウィリアムズ」に学ぶ
ラリー・ウィリアムズという投資家をご存じでしょうか?ウィリアムズ%Rなどの投資手法を開発した伝説的なシステムトレーダーです。かなり初期の段階でシステムトレードを取り入れた人物ですが、そんな彼の考えを紹介したいと思います。
システムの長所
取引にシステムを取り入れた時点で、既に他のトレーダーよりも数光年も先んじている。 PCが大きく発展し、今や過去にさかのぼって、その成績を調べることができる。過去のデータが多ければ多いほど、将来にわたってもその法則は成立する確率が高いのである。 最悪期を生き抜くためには、どれだけの資金が必要になるかを算定することが可能なのである。一定期間の収益合計を取引回数で割ることによって、平均収益を知ることもできる。自分のシステムを使って自らが一日にどれだけ稼ぐことができるか、すなわち、生活費を稼ぐために、どれだけ取引をする必要があるかを、その数値は教えてくれる。
システムを持つことは宗教を持つようなものである。危機に瀕したときに救いを求めることができる。そして、その宗教に対する信仰が危機を乗り越える助けとなるのである。この世の終末のような目にあったときに、哲学的信念や信仰に救いを求めることで辛い時期を乗り越えることができる。システムについても同じことが言える。
システムが機能しない理由
システムは手にしたが、儲かっていないとする。一体何が問題なのであろうか? 最大の理由は(おおかたの場合はほとんどがこの理由である)、十分な検証が行われていないことである。 半年間そのシステムを使って儲かったからと言って、それが将来においても相場の常であるかのような結論をつけてしまうことが往々にしてある。 ラリーは、少なくとも5年間、願わくば10年間のデータを用いて検証した後でなければ、システムに基づいて取引することはないと言う。うまく働かないシステムを人々が持つ理由は、そのシステムが儲かるか否かの調査を毎日毎日、長い時間をかけて十分に行っていないからである。
自分でシステムを開発しないのならば、システムを買うことである。ラリーが初めに買ったシステムは3日移動平均線と10日移動平均線からなるものであった。売り手は、そのシステムがソロモン王の宝の鍵だと豪語していた。しかしながら、そのシステムは、あるタイプの相場が続いているときにのみ鍵の役割を果たしていた。ラリー自身、そのシステムが難しい相場でも勝てるものかどうか調査していなかったがために、かなりの損を被った。
相場向きの性格
コロラド州立大学でビジネスを教えるジム・フランシス教授はプレッシャーに屈しない運動選手を選ぶ際の助けとして、性格特性テストを実施しているという。項目としては、攻撃性、自己顕示欲、社会的認知への欲求、忍耐力が挙げられている。 実は、フランシス教授は、ビジネスで成功を収めている人々と運動選手の性格特性を比較している。 フランシス教授が言うには、『運動選手の性格特性は成功を収めているビジネスマンと最もよく似ている。双方とも支配欲が強く、強い忍耐力を持つリスク・テイカーであり、物事を成し遂げるタイプである』。
投資家である以上、リスクをとらなければならないのは明らかであるが、頑固さや意思の固さといったものが組み合わされた場合、相場では逆にあだになってしまうかもしれない。とりわけ、トレーダーが苦痛に耐えるすべを身につけている場合がそうである。
支配欲やリスクテイキングというビジネスの世界では非常に役立つ性格特性は、取引においては自らを破滅に導く誘因となる。
あなたがそのような性格の場合、いつポジションを外すべきか教えてくれるシステムを常に持っていなければならない。
自分のポジションに惚れること
相場で儲けることなど、世の中で最も簡単な事なのである。今と逆のことをするだけでよいのだ。現在、そして将来に渡って、株式や商品の取引で成功するためには、一般大衆と逆のことをすればよいのである。
一般大衆が過度に熱狂したとき何が起きたかに注目すると、ほとんどの場合、相場は高値をつけた後、急落する。逆に投資家が迫り来る追証に気付いたときに、何が起きたのか。相場は底を入れ、続いて非常に大きな上昇相場が到来したのである。
自分への褒美
ラリーの友人に、心理学に通じ、トップトレーダーであるジェイク・バーンスタインがいる。 彼は、どうぶつや人間にある仕事を反復実行させる最良の方法は仕を完了したときに褒美を与えることだという研究結果の重要性を強く述べているという。
トレーダーとして、成功したいならば、相場で勝利を収めたときに自分自身に褒美を与え、損をしたときには何も与えなければ良い。このようにすれば正しい行いをすることの重要さを心の中に徐々にしみこませることができるだろう。
成功した取引について深く掘り下げてみることも同じくらい重要である。
なぜその取引をしたのかを確認するのである。多くの本の著者が負けたときの取引を振り返ることを大切としているが、ラリーはそれと同じくらい買ったときの取引を記録することが重要であると述べている。
苦痛のポイント
多くのトレーダーは、相場で勝つことを運動競技で勝つことや、人生において何かを達成することと同様だと考えている。 そのため、多くのトレーダーはこうした発想を相場に持ち込んでしまい、相場で勝つためには何かをしなければならないと考えしまいがちである。確かに私達は何かをしなければならない。つまり、買うか売るかをしなければならない。しかし、一度取引を始めてしまえば、後には何もすることができない。 相場で勝つことは、点数を獲得することではなく、いかに正しくあるかという問題である。正しさを鑑定するのは相場である。
ある取引が勝ちか負けかを見極めるためには、自分がどれだけの苦痛を耐え忍ぶかを決めればよい。一定量の苦痛を感じた瞬間が相場から撤退するときなのである。
間違ったときの対処
間違いをしでかしたとき、どうすればよいのだろうか。答えは簡単である。 即座にポジションを切るのだ。間違いは間違いと認めることが重要である。 最大規模のディスカウント・ブローカーの創業者であるイラ・エプステインは、口座の取引内容を見つけたとき、とりあえずすぐにポジションを外し、それから議論を行うという。ポジションをそのままにしておくよりははるかにましであると考えているのである。